自転車コラム INDEX




  サイクリング in イギリス その5

-この数ヶ月で見聞きしたイギリスの自転車事情-

日本にいたとき「イギリスは自転車先進国だよ」と話にも聞き、また本にもよくそう書かれていた。今回イギリスで生活するようになり、その理由を解明すべく街を眺めてきたので、ここに気のついたことを記してみようと思う。

ロンドン郊外のビジネスパーク内の自転車道路(赤い舗装がサイクリング道路) 歩道を行く歩行者用に立てられた標識。
サイクリングトラックの左右どちらから走ってくる自転車にも注意するよう警告している。当然反対側にも同じ標識が立てられている

日本では自転車が車道から歩道に追いやられてしまい、歩道において歩行者と共存しなければならなくなった。イギリスでもロンドンの繁華街を含め都会では、歩道を走っていいところもある。自転車標識や、歩道に自転車マークが描かれているのですぐ分かる。しかし自転車は原則として車道を走行することが義務付けられている。通常は車道の左端を走るが、時として車と同じレーンを走ることもある。その場合自転車の人は手信号を使う。手信号は非常に重要である。自動車は手信号を見ると殆ど例外なく自転車に道を譲っている。

殆どの交差点にはラウンドアバウトと呼ばれるサークルがあり、信号はないのが普通。中を回っている車両、その次は右側が優先 中央に植え込みもあるかなり大きいラウンドアバウト

イギリスの交差点は「ラウンドアバウト」というサークルで出来ていることが多く、通常信号は設置されていない。自転車もこのラウンドアバウトを手信号で合図しながら通過する。慣れないと自動車でも怖いが、自転車に乗った人がいると自動車は気をつけてくれるので助かる。また、車道の端を走っている時も、自動車は常に自転車を優先させている。また当然のことながら、自転車の人は歩行者がいると歩行者を優先させている。これらのルールが実によく守られているのには感心した。

ロンドン中心街ピカデリーの車道を走る自転車

但し、ヘルメットをしていない人や帽子も被っていないサイクリストが意外に多い。この点は日本と同じかも知れない。違う点があるとすれば、自己(事故)責任が徹底していることが挙げられる。自分のことは自分で責任を持って対応するのが大人の(イギリスの)社会ということのようだ。

イギリス全土には、10,000マイル(16,000km)以上のサイクリングルートがある。このうち3分の一が自転車と歩行者と車椅子の人たちの専用道である。そして全国民の75%に当たる人達にとって、居住地の2マイル(3.2km)以内にサイクリングルートがあり、駅、学校、会社、商店、史跡、景勝地などを結んでいる。

ロンドン中心街の道路の真ん中にも自転車置き場があり、雨避けのカバーまでしているものもあった 駅前にあるホームに隣接した自転車置き場
街の広場の脇にある広い自転車駐車場 商店街の歩行者優先道路脇にある自転車駐車場

自転車用駐車場も至る所に設けられている。ロンドンの繁華街も例外ではない。自転車で買い物、通学や通勤の際、どこにでも駐車の心配なく行ける仕組みが出来上がっている。

駅の改札口 持込可能な標識には自転車のマークも 電車の乗降口にある自転車マーク。3台OK
ロンドン・ウオータールー駅で若い夫婦と思われるカップルが自転車で乗り込んできたので写真を撮らせてもらった ウォーキング駅ホームの自転車置き場

電車も先頭車両など特定の車両に自転車をそのまま持って入れるようになっている。車両の入り口の脇に自転車の絵が描かれている。しかも料金は無料。列車によっては車内に専用のスペースや、設備がついているのもある。朝夕のラッシュ時を除き通常一車両に2〜3台分の持込が許可されている。自転車を押して改札口を通り、駅のホームにある駐車場に自転車を停め、鍵をかけて置いておくことも出来る。各鉄道会社はパンフレットや地図を作って自転車旅行の宣伝までしている。勿論、各社のインターネット・ホームページにも詳しく案内が掲載されている。

3台分の前輪固定器具が備わっている。壁には器具の使用方法が描かれている

このように自転車は市民権を得ている。ところで、日本で俗に言うママチャリは法律により輸入禁止されている。理由は簡単、壊れやすく危険だから。自国民を守るのが政府の役割である。日本でもかつて通産省がホームページで、粗悪品が多く危険であると警告を発していたが、輸入禁止には至らなかった。日本政府も国民も安全ということにもっと関心を払い、行動を起こすべきと思う。地球環境に優しいハイブリッドカーの発達を願うと共に、自転車が日本においても市民権を確立する日が来ることを期待している。
(中田 修二)




<自転車に関する参考資料>
1. National cycle network
National cycle networkのオフィシャルガイドブック「Cycling in the UK」
www.nationalcyclenetwork.org.uk

発行元:SUSTRANS (Sustainable transport charity)
(www.sustrans.org.uk)

2.National Rail 国鉄に属す SOUTH WEST TRAINS会社
Cycles on trainsという自転車に対する方針を記したパンフレットを発行している。
www.nationalrail.co.uk/passenger_services/cyclists.htm
www.southwesttrains.co.uk/SWTrains/Customerservice/Passengers+Charter.htm

3.London Cycling Campaign (LCC)
ロンドンにおけるサイクリング事情の向上を目指して活動している団体
www.lcc.org.uk

4.Transport for London(TFL)
19のサイクリング地図でロンドン全域をカバーしている。各駅に置いてあり無料。Servicing and repairs: ルートマップの中に番号でCycle Shop の場所を記している。
www.tfl.gov.uk

5.British Cycling Federation
www.bcf.uk.com

6.Cyclists' Touring Club (CTC)
www.ctc.org.uk

7.London Cycle Networks (LCN / LCN+)
www.londoncyclenetwork.org

8.Veteran Cycle Club
www.v-cc.org.uk