教えてドクター吉澤
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5.ブレーキ用摩擦材

 動いている車両を止めるには、ブレーキをかけることが必要です。現在のところ回転体に摩擦材を押しつけた摩擦力で回転を止める手法が一般的ですが、この「回転」を止める摩擦材にはいろいろな材質や特性を持っています。

〈摩擦材に要求される性能〉
 @ 適度な摩擦係数
 A 強度(耐熱性・耐摩耗性が高い)
 B 熱伝導が低い(対フェード性)
 C 温度、湿度、速度等に摩擦係数の変化が少ない(“効き”の安定性が高い)
 D ノイズが出にくい
 E 環境を壊さない(有害物質を使用しない)
 F 寿命が長い(対メンテナンス性・経済性)

5.1 摩擦材の種類

  自動車などに使われている摩擦剤の発達の変遷は、
軟質ウーブン → 特殊ウーブン → ゴムモールド → レジンモールド(ウエット・ドライ・セミレジン)へと変わっており、現在では、ライニング・パッドは組成面から調整範囲が広く、耐熱性にも優れていることなどの理由から、レジンモールドが主流となっています。
 摩擦材の分類は大きくいって有機系(ウーブン・モールド)と無機系に分けられるが、使用する材料の種類や特性・製法などでその製品の種類や用途が決まります。



図5.1 摩擦材の種類と主用途

5.2 摩擦材の構成

 前項でも述べましたが、現在の主流は有機系摩擦材のレジンモールドです。このレジンモールドは、強度を作る基材・効きのための結合材・熱や摩耗への対応や鳴きなどの要求性能を可能にする摩擦調整材と、これら成分を接着成形する結合材の3要素で構成されています。ここでは、その代表的な例としてアスベストス摩擦材とノンアスベストス摩擦材について述べてゆきます。

T.アスベストス摩擦材
 国内に於いてアスベストスを基材に使用した摩擦剤は、昭和4年に外車用の摩擦材生産を始めた曙ブレーキ工業株式会社が最初で、それ以来60年に渡って主原料として使われてきました。

U.ノンアスベストス摩擦材
 大変すぐれた材料として重宝されていたアスベストスが、世界各国(特に北米・欧州など)で発ガン物質と指定されるようになった。日本では、1989年4月に自動車工業会がアスベストスの使用を自主規制する自主規制案を出したことに対応して、代替材の研究・開発を進めたことにより、現在では大部分がノンアスベストスへの切り替えを終えています。

図5.2 アスベストスとノンアスベストス摩擦材


1)基材の成分
  ・アスベストス摩擦材 → 石綿(アスベストス)
  ・ノンアスベストス摩擦材 → 鋼繊維、無機または非鉄金属繊維、
   有機繊維(アラミド繊維、ナイロン、セルロースなど)
   無機繊維(ガラス繊維、ロックウールなど)

2)摩擦・摩耗調整材の種類と成分
  ・有機物系 → アラミド、ゴム
  ・無機物系 → カーボン、セラミックファイバー、炭酸カルシウム
  ・金属物系 → 真鍮、鉄粉
  ・酸化物系 → 酸化鉄、セラミック