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1.ブレーキ基本計算

 I.ブレーキ計算の基礎
 (1)路面とタイヤとの関係
図1-1
図1.1

車輪に荷重Wをかけた時の路面とタイヤの摩擦力Nは
〔1〕

(2) ブレーキ力Fと減速度αとの関係
回転している車輪にブレーキ力Fを与え減速度αが発生した時
〔2〕

(3) ブレーキ力と路面とタイヤの摩擦力との関係
車輪の回転を止めるのに必要なブレーキ力は、路面とタイヤの摩擦力に等しい。即ち荷重と路面摩擦係数によって定める。このブレーキ力を必要ブレーキ力(理想ブレーキ力)という。これに対して実際にW/C液圧が発生させるブレーキ力を実ブレーキ力という。
実ブレーキ力が必要ブレーキ力を超えた時、タイヤはロックし、路面上を滑る状態となります。滑り始めをスキッド限界といいこれは、N=Fの時である。よって〔1〕、〔2〕より
〔3〕
注)〔1〕、〔2〕式のブレーキ力は必要ブレーキ力である。
 II.制動配分の計算

(1) 静的荷重配分
図2.1
図2.1

〔4〕
Y点廻りのモーメントを考え
〔5〕
X点廻りのモーメントより
〔6〕
静的荷重配分率
〔7〕
〔8〕

(2) 動的荷重配分
自動車は制動時に慣性力に 荷重移動を生じ、静的荷重配分が減速度に応じて動的荷重に変化する。
図2.2
図2.2

Y点廻りのモーメントより
9-1
X点廻りのモーメントより
9-2
∴動的荷重配分
〔10〕
〔11〕
よって、H/l・α/g・Wの荷重移動が制動時に生ずる。
動的荷重配分率(%)
〔12〕
〔13〕

(3) 理想制動配分の計算(必要ブレーキ力の計算)
            (理想ブレーキ力の計算)

理想ブレーキ力とは各減速度によって生じた動的荷重配分を制動させるのに必要なブレーキ力である。
又これは前輪、後輪とも同時にロックするブレーキ力である。
13-2
13-3
〔14〕
〔15〕

(4) 理想制動配分曲線
減速度αをパラメータとして前輪、後輪の理想ブレーキ力(〔14〕、〔15〕式)を図示すると次のようになる。
図2.3
図2.3

この曲線によって示された前後ブレーキ力配分は、各減速度において過不足なく必要(理想的)なブレーキ力配分を示しているため、理想制動配分曲線ともいわれる。

(5) 実制動配分の計算(実ブレーキ力の計算)
実ブレーキ力とは、人間が与えた入力Pによって実際にブレーキに生ずるブレーキ力で、これはタイヤと路面の摩擦係数には無関係である。
図2.4
図2.4

ブレーキ1個に発生する実ブレーキ力をタイヤと路面上のブレーキ力に換算すると(ここではタイヤと路面の摩擦係数は考えないものとする)
〔16〕

〔17〕

(BEF)F,R:前後輪ブレーキ効力係数

F,R:前後輪ブレーキ入力液圧(Pa)

WF,R:前後輪ブレーキシリンダ面積(cm2

F,R:前後輪タイヤ半径(m)

F,R:前後輪ブレーキ有効半径(m)
ブレーキ力配分比
実ブレーキ力の前輪と後輪の配分比(%)
〔18〕
〔19〕

(6) 実制動配分曲線(実ブレーキ力曲線)
図2.5
図2.5

実際のブレーキ力(実ブレーキ力)〔16〕、〔17〕は前、後輪で一定の比率であり、図示すると上記のように直線になる。これを実制動配分曲線という。

(7) 同時ロック点
図2.6
図2.6

前、後輪が同時にロックする点である。即ち前、後輪の各々の理想ブレーキ力と実ブレーキ力とが等しくなった点である。(上図の交点)
同時ロック点の減速度での前輪の理想ブレーキ力は、
〔20〕
同時ロック点の減速度を得るための前輪の実ブレーキ力は、
〔20〕
同時ロック点の減速度を得るための前輪の実ブレーキ力は、
〔21〕
定義より〔20〕と〔21〕は等しいので、同時ロック点での減速度は
〔22〕
またこの時の路面の摩擦係数をとすると〔3〕式より
23-1
〔23〕
となる。

(8) 前後輪ロック限界
理想ブレーキ力に対し、それ以上に実ブレーキ力が発生すると車輪がロックしてスリップを起こす。
重量Wの自動車をαの減速度で制動するために必要なブレーキ力は、
〔24〕
〔25〕
タイヤと路面の摩擦係数をμとすると、前後軸の発生しうるブレーキ力は、
〔26〕
〔27〕
であり、ブレーキ装置によりこれ以上のブレーキ力を発生させようとすると、車輪ロックが発生する。よって上式は、前輪または後輪がロックするかしないかの限界を表している。前輪ロック限界減速度、後輪をとすると、
上式より
〔28〕
〔29〕
より 〔30〕
〔31〕
である。
〔30〕、〔31〕式よりμと、の関係を求め、図示すると下図のようになる。
図2.7
図2.7

この図よりμ=0.2における前後輪のロック限界減速度をみると
31-2
となり前輪の方が低く、前輪が先にロックすることを示している。同様にμ=0.5では逆に後輪が先にロックする。
又、との交点は、同時ロック点である。よって交点の位置によって前輪ロックが発生しやすいか、後輪ロックが発生しやすいかが決まる。

前輪ロック限界の前軸動的荷重と必要ブレーキ力の関係は
〔32〕
〔33〕
より
〔34〕
が得られ、これは前輪ロック限界線を示す。
後輪では
〔35〕
〔33〕
より
〔36〕
これは、後輪ロック限界線を示す。
又、〔33〕式においてα=一定とすると
〔37〕
となりこれは傾きが−45°の直線となる。これを等減速度曲線と呼ぶ。
図2.8
図2.8

Aの場合は、前輪が先にロックし、Bの場合は後輪が先にロックする。