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3.ブレーキの規格と規制

  1).規格
 各自動車メーカーや部品メーカーにはそれぞれ社内規格がありますが、これらが千差万別であるために、色々な不便、不利、不経済を生じています。
 これを統一するために日本では自動車技術会においてJASO(Japanese Automobile Standard Organization)を作っています。ブレーキ関係では目下C401の液圧ブレーキ・シリンダの形状寸法から、C514の連結車常用ブレーキ実車要求性能まで52規格あり、年々新たに発行、改正されています。これらの中から必要なものは国家規格であるJIS(Japanese Industrial Standard)にされています。
 外国では、BS(英)、BNA(仏)、DIN(独)、UNI(伊)、SIS(スウェーデン)などの国家規格やSAEのような団体規格などがあります。これらもそれぞれ異なっているため、統一のための機関としてISO(International Standard Organization)が作られ、我が国も日本工業標準調査会がPメンバー(投票権を持つ、Oメンバーにはない)になっている。ISOは国連とは独立した機関で、その下に多くのTC(Technical Committee)を持ちTC22が自動車関係であります。これはまた多くのSC(Sub-Committee)に分かれ、ブレーキはSC2になっています。SC2の具体的な行動はWG(Working Group)によって動いており、目下WG1(連結車、エア・ブレーキ)、WG3(ブレーキ液)、WG9(ブレーキ液のリザーバ・タンク、キャップのマーキング)、WG10(ブレーキ用語)などが活動中である。国連とはTCレベルで国連のWP29(車両構造専門部会)、SCレベルでGR(ブレーキ、走行装置分科会)と密接な関係にあり、代表を出席させています。
 日本のJASO、JISも、できるだけISOに整合させる努力が払われているが、まだJASO、JISに相当するISOのないものが多く、また国情などから完全に一致させることのできないものも多い。日本の意見はWG、SC、TCの場でそれぞれ十分に主張されています。

2).規制
 我が国には保安基準と新型審査基準がある。アメリカは1967年に始めたFMVSS(Federal Motor Vehicle  Safety Standard)であり、ヨーロッパでは各国の規制の他にECE規制(Regulation of Economic Commission for Europe)があり、これは国連の組織で1958年のジュネーブ協定で定めているものです。ブレーキ関係は規制3で、これにはAnnex13まで付いています。これの作成グループは通称WP29(Working Party)と呼ばれています。EEC指令(European Economic Community Directives)は9カ国の加盟国で作っており、基本は71/320EECである。加盟国に対しては拘束力を持っています。内容はECEによく似ています。  現在FMVSSとECEはもとより、我が国をはじめ各国の国家規格共、統一が採られておらず、試験項目、内容、要求レベルにずれがあります。特にECEでは前後配分を厳しく規制している。すなわちブレーキ率Zが0.15〜0.8の間では後軸が前軸より先にロックしてはならないとしています。これは後輪ロックによって方向安定性が失われるためである。また路面との摩擦係数Kが0.2〜0.8では、

式

式

を要求しています。上記の範囲でフロントが式の線を越えず、リヤ K=Z の線を越えないことが必要です。
図3.1 ECEの前後バランスに対する規制
図3.1 ECEの前後バランスに対する規制
図3.2 前後バランスの実例
図3.2 前後バランスの実例

 FMVSS保安基準にはこういった要求は現在ありません。これらの不統一による不便さ、安全に対する問題点などを解消するために、国連を中心として、日本を含む世界の主要国による統一のための会議が1980年にフランクフルトで開かれたのをはじめとし、1983年には東京でも開催さました。現在も引き続き統一への努力が行われており、世界の規制が一本になる日が近づきつつあります。我が国もこの統一された規格に十分意見を述べると共に、決定された暁には保安基準をはじめ関連法規ができるだけこの線に沿うことになります。ヨーロッパのみではなく、アメリカではブレーキのうち乗用車関係は元FMVSS105(液圧ブレーキ、トラック、バスを含む)であったものをFMVSS135として新たに出しました。