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アメリカ 夢のような8月  

二年半のアメリカ生活のうち、二度の夏をロサンゼルスで過ごした。渋滞が激しく大気汚染が問題視されているけれど、比較的、海が近かったせいか青い空に眩しい陽射しが降り注ぐ光景はTVや映画で刷り込まれた想像通りのものだった。それに、湿度が低いため日陰は涼しく、家のなかは窓を開けてさえいればエアコン要らず…。セミの鳴き声をBGMに過ごす日本の夏も風情があっていいけれど、これからはおそらくあちらで過ごしたクールな快適さを恨めしく思い出す季節になるんだろう、と思う。

さらに8月は私にとって特別な月だった。毎年中旬にモントレー(カリフォルニア)で行われるヒストリックカーのイベントは、渡米前から訪れたいと思っていた憧れのイベント。これはアメリカ中のヒストリックカーが集まる最大のイベントと言われているのです。本物のヒストリック・カーマニアやお金持ちは現地で行われるオークションでの品定めを楽しみに出かけるのだと思うけれど、私にとっては“お祭り”のようなイベントだと、今は思う。ペブルビーチという名門のゴルフコースで行われる“コンクール・ド・エレガンス”を中心に、イタリア車ばかりが集まる“コンコルソ・イタリアーノ”などのコンクールや、ラグナセカ・サーキットで行われるヒストリック・カー・レースなど周辺ではイベントが目白押し。これらをハシゴする数日はまさに恍惚の時間(とき)。夜は夜でモントレーのダウンタウンのホテルでもハイクラスなオークションが開かれ、街中はオークションにかけられるクルマやそれらを見に訪れる人たちの乗るクラシックカーでいっぱい。それこそ街中がクラシックカー・イベント一色と化す、私にとっては真夏の夜の夢のような時間だった。

ところで、憧れのイベントを訪れる夢が実現した私がたくさんのクラシックカーに心奪われ、興に入ることは想像がついていたけれど、新しい発見もあった。二年目のモントレーがさらに楽しみになったのは訪れる人々のファッション・ウオッチ。最新のアメカジに身を包む若者もたくさんいたけれど、それよりも大人の女性が素敵だったのだ。プレゼンターを務める女性のクラシカルなドレス姿ももちろんイベントの雰囲気を盛り上げていたけれど、出展者の奥様やそのお友達の洋服や帽子姿も会場に華を添えていた。数人の女性にお話をうかがったところ、彼女たちはやはりクルマよりも会場に集まる女性のファッションが楽しみだと口々におっしゃっていた。遠くからジーッと観察していると、素敵な装いの女性の視線の先にはやはり華やかな装いの女性あり。青い空と眩しい陽射しの下では個性豊かな帽子とそれに似合うお洋服の競演もあるわけなのです。

アメリカ最大のクラシックカー・イベントは見るものがますます増えて大忙し…。でも、それは私にとって夢の祭典! 目がまわるほどに好奇な目をあちこちに向けた二度の夏のモントレーは本当に素敵な時間だった。次はいつ訪れることができるだろう。8月が来るたびにクールな夏を思い出し、次のチャンスを夢見るのかしら。「今年も行かれないまま、終わっちゃったな」と、たった今、思っているみたいに…。