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至福の時間 グッドウッド  

手元のリストによると、今年のGoodwood『Festival of Speed』のエントリー台数は展示のみのモデルも二輪も含め、総勢440台が会場に集まっていたらしい。三日間も通っておきながら“らしい”と言うほかありません。全てを見て把握することは不可能でしたから…。

憧れのイベントに初めて足を踏み入れることができて、興奮し、浮き足立っていたのは間違いないのです。

例えばそれは、回転寿司(それも出されるものはすべて一流、高級、人気寿司店並の美味しさ)に初めて入ったみたいなワクワク感と楽しさ。目の前のお寿司はどれもみんな食べたいものばかりで、一つのお皿を手に取ると、そのとき私の目は既に次のお寿司を物色し狙っているという感じ。もしくは始めてディズニーランドにでも行ったときの「どれから乗ろう?」と迷う感じでしょうか。

走るクルマを見たい、出走準備をするマシンや準備の様子も見たい、カルティエ・コンクールデレガンス出展車輛用展示スペースも、ショップも、各メーカーの出展ブースも見て廻りたい、あわよくば有名人やドライバーにも会いたい…、こんな強欲さではこの身一つでは3日間でも足りませんでした。自動車のミュージアムでも好みはあるので、一生懸命見たり、写真を撮ったりするものもあれば、スルーしてしまうものもないわけではないのです(あんまりないですけれど…)。しかし、私にとってこの会場に集まったマシンの中で無意味なものなど一台もな〜い!

まさに自動車天国でした。一台一台の存在感とオーラ、スタッフや来場者たちの平和で優雅で楽しそうな様は、まるで「私はもう死んでしまって、自動車天国にいるのではないか…」と思うほどなのでした。でも、私もマシンたちも死んでいないわけで、戦前のクルマでさえイキイキとサーキットを走っていました。まさに動く自動車博物館。こんな贅沢な機会はホントにありません。

知っているクルマなどほんの一部で、新しい発見ばかりだったのは当たり前です。

Audi TypeD
今年はアルファロメオ誕生100周年を記念して多数の貴重なアルファがエントリーしていたのは私にとっても貴重な機会でした。アルファロメオのミュージアムには行ったことがなく、F1が始まった1950と1951年のたった二年間だけ大活躍をして撤退したときのF1マシンや初代8Cの本物が見られたり、ポルシェがF1に参戦していたことを初めて知ったり、フォルムが大好きでミニカーを持っているBMW328ミッレミリア・ツーリング・クーペやアウディのタイプDが走る姿を拝むような気持ちで眺めていた私…。あ〜、なんとも夢のような時間…。(呆れてください)

そんな中でも今回特に紹介したいモデルが2台あります。



まず一台はフェラーリ312/68。これはフェラーリの1968年のF1マシンです。3リッター12気筒エンジンを搭載し、フランスGPでジャッキー・イクスが一勝を挙げています。でも私はそんなことよりもこのマシンの美しさに見とれました。艶やかなレッドのボディとシェイプ、そしてノーズのお口の形状、さらに12本のエキゾーストパイプが造りだす芸術的な曲線美!はぁ〜。さらにポイントが高かったのはコクピット内のシートにさり気なく置かれたイエローのヘルメットがまた、いいっ! クゥ〜ッっときてしまいました。

もう一台は癒し系です。写真はフィアット600 ムルティプラ・マリネラ、1958年のモデルです。カルティエが毎年コンクールデレガンスに出展された車両を展示しているスペースには、変わったクルマばかりが展示されていました。コンセプトカーや個人オーナーがカロッツェリアにオーダーしたこの世に一台しかないモデルなど。中でも持ち帰りたくなるほど可愛かったのがこのムルティプラでした。一般的にはビーチーカーと呼ばれるそうです。お金持ちがプライベートビーチで使っていたのだとか。シートは籐でできていて、水着のまま乗っていいんだそうです。乗ってみたい…。他にも2〜3台が展示されていて、例年になく暑いグッドウッドの会場で夏らしい陽射しが最も似合っていました。


最後にもう一台。オマケはゴルフカートです。敷地内にはゴルフコースもあり、イベント開催中も関係なくプレイをしている人たちがいました。なぜかこの一台が会場に停まっていてラッキー。クルマ好きのマーチ卿(主催者&敷地のオーナー)らしく、ゴルフカートもユニーク。一度、これに乗ってプレイしてみたいと思ってしまったりして…。

憧れていたGoodwood『Festival of Speed』の三日間は本当にあっという間に過ぎていきました。消化不良は覚悟の上でしたが、来年もしくは次回のチャンスにまた行かれたら、今度はもう少し落ち着いてゆっくりとあの雰囲気を楽しみたいものです。駆け巡ったという印象が強くて、残念ながらあの贅沢な時間と空間に浸ることはできませんでした。今度はもっとゆっくりと味わいたいものです。

Goodwoodは文字通りGoodGood!なのでした。