飯田裕子コラムTOP

   
格付けの法則  

先日、知人の家に遊びにいったら、奥さんと息子的存在のフレンチブルドッグがお出迎えをしてくれた。ブルちゃんが出迎えてくれたのは初めてで、私はその犬に歓迎された気分でちょっと嬉しくなったのだけど、実は違った。その家の主はウォーキングに出かけていてお留守。つまり、その家と奥様を守るため、チェック&ガードにやってきたのだった。その結果、家に入ることは許されたものの、彼を撫でようとするとグガルルゥ〜と攻撃態勢をとる。すると奥さんは「ムリよ。お父さん(ご主人)以外の人間はみんな彼より下だと思っているから」と言う。この家の格付けはこうだ。お父さん→ブルちゃん→お母さん→それ以外の人。私は思わず首根っこを噛み付いてやろうか、と思ったが両親(ブルちゃんも飼われている意識などまったくない)の前で、そんな乱暴なことできるはずがない。まあ、そもそもペットはみんな格付けをする。先日亡くなった、うちのハナにとって、外に住む私のランクは会うたびに下がっていった。仲は良かったと思っているけれど…。

そんなことを考えたのは、先日連載誌の取材でミニ・クラブマンに乗ったときだ。円らな瞳にやや胴長(フツウのミニより全長+24cm、ホイールベース+8cm、後席の足元が広くなり、全長からホイールベースを差し引いた寸法分だけラゲッジも拡大している)のボディ。ベーシックなモデルを見慣れているためか、クラブマンのフォルムはややアンバランス。でもそれがミニチュア・ダックスフンドやイングリッシュ・コーギーの容姿を思い起こさせ、とても可愛いと思った。そして、もし私がこのクラブマンを買ったら、オーナーである私とこのクルマの立場ってどうなるのかと考えたのだ。オーナーとクルマの上下関係ってあると思う? 私には、微妙だけれどあるような気がしている。基準は、どうもボディサイズとパフォーマンスとのトータルバランスみたいだ。以前に乗っていたBMWのカブリオーレ−“カブリちゃん”と呼んでいた−は、基本的にはよきパートナーだけど、カブリちゃんの方がやや上。理由は身近なパートナーだったけれど走りと実用性、そして物腰のすべてに満足できた点で、私よりも精神的に大人で頼れる存在だった。エルフくんはマブダチだったから同等。インプレッサも良き遊び友達、だから同等。昨年ちょっと乗っていたML55は気分的には同等だけれど、とにかく大きいしパワーもあるしで、乗せてもらっている感もあって格付けは私よりも上でしたね。

では、ミニ・クラブマンはどうだろう。自分と同等でありながら少しだけ下でいてもらおうかしら。エンジン音が少々ザラついているけれど、パフォーマンスもパッケージングも言うことなし。でも可愛いがりたいから姉が弟を想うような感じか、もしくは私が面倒をみてあげないといけない愛犬みたいな存在がいい。いずれにせよ、もしオーナーとクルマの関係を格付けするとしたときに、「明らかに下よ!」なんて思ってしまったらクルマが可愛そう。愛車の格付けの法則のスタートはイーブン。そして、どんな存在なのかによって、上下を考えたい。つまり、クルマを買うなら、イーブンな関係が保てるものを選ぶべき。それが“愛”車と呼べる一台になると思うのです。Oh〜、番犬は愛犬と呼べるのか…? それはまたにしましょう。