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夜遊びオープンA  

ヨリコちゃんがスゴいのは、自分がバカだと思われていることを、よくよくよぉく知っていたってことだ。幾つになったの? まだやってんの? そんな声を掻き消すように踊りまくり、飲みまくり、そうしていつも、笑いまくった。そのパワーは、月曜〜土曜まで、毎日毎晩どこかしらには出かけているほどで、だからあちこちのホットな店の常連だった。

六本木でも芝浦でも、ヨリコちゃんの名前を出せば、必ず誰かが知っていた。遊びだけじゃなく、仕事もそこそこ忙しかったヨリコちゃんは、しょっちゅう予定をドタンバで変えた。携帯電話など、ごく一部の見栄っ張りしか持っていない時代だった。けれど、困ったことはあんまりなかった。誰かが必ず、ヨリコちゃんの居場所を知っていたからだ。それぐらいに強い遊び人だった。

ポルシェとフェラーリが好き! と、語るほど、クルマ好きな女でもあったのに、あろうことか、免許を持っていなかった。

「取る必要がないから」と、本人が言うとおり、いつもポルシェやフェラーリが彼女を迎えに来たからだ。クルマで選んでいたわけじゃあないだろうけれど、そういうクルマを好きになる男性の、そういうメンタリティが好きだったのは確かだと思う。でも結婚した相手は、ビーエムのひとだった。女って……女だよね。

その後一度、彼女に出産祝いを贈るため、新居に会いに行った。ママになっても相変らず、深いVネックのワンピースなんてものを日常着にしていた彼女とは、そのときに約束を交わしている。

「お互いの子どもたちが大きくなったら、シャネルとかダナ・キャランとか、うんとゴージャスなドレス着て、オープンカーでまた夜桜見に行こうね。絶対に」

子どもがそこそこ大きくなった今も私は、シャネルも、ダナ・キャランのドレスも持っていない。が、ユニクロを着ていてもそうとは思わせない程度の、テクニックと経験を積み重ねてはきた。家事と仕事ともろもろに追われる日常の中、時にはノーテンキにはしゃぎたい心の隙間もあるってもの。だから今ならあの約束、実現できそうだ。

ドレスはともかくとして、クルマは、そうね、カマロのコンバーチブルにする? それとも新生マスタング? いずれにしても、艶めくオンナのトーキョー・ナイトには、ゆるいアメリカン・クーペが気分なんじゃない? ヤングを押しのけてはしゃぐにも、心をゆるめて大人的にふさぐにも、何だかぴったりのような気がしているのだが。

ヨリコちゃん、もしも思い出してくれることがあれば、連絡ください。絶対に。