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2006年8月  
 欧州で新ディーゼルの優秀さを実感 2006/8/4 

日本ではディーゼルというと、ほとんどの人は「ああ、トラックの黒煙ねぇ」と思い浮かべて、「きたない、うるさい、興味がない」と思いがち。 でも、そのネガティブなイメージを変えようとして、つい最近ベンツが日本でディーゼル車を再デビューさせて、最新ディーゼルの良さを日本のプレスにアピールするために、特別な試乗会を設けたりしている。

欧州で試乗したマツダ6(アテンザ)
のディーゼル仕様車
ルマンに優勝した
ディーゼル・マシンアウディR10

僕も昨年、欧州で最新のアルファ・ロメオやマツダのディーゼル・ターボ仕様車に乗ったんだけど、その性能に関心させられた。とても静かだったし、振動もなかったし、しかもクリーンだった。その走りはガソリン仕様車と変わらないけど、低速トルクの太さに驚いた。それに何よりも燃費がいい。日本にはこんなクルマがないのは残念だ。

一方、欧州でディーゼルというと、半分以上のドライバーは「ああ、僕も乗っているよ、僕の理想だ」という。それだけ浸透しているわけだ。また、最近ではレースの世界でも、ディーゼルが注目を浴びるようになってきている。6月に終わったばかりのルマン24時間レースでは、アウディが作ったディーゼル車が初制覇を果たした。
(*2005年6月のコラムでは、プジョー・ディーゼルの参戦も紹介した)

97年に1220km/hの最速記録を果たした「スラストSSC」 8月のディーゼル最速記録に挑む
「JCBディーゼルマックス」

ところで実は、今度はレースだけではなく、ディーゼル陸上スピード記録を狙う人が現れた。その人は何と音速を破り、1220km/hを記録したイギリス人の実業家リチャード・ノーブル。元ドライバーの彼は、97年にあの有名な(米・ユタ州)ボネヴィル・ソルト・フラッツ(塩湖が干やがった平地)で、戦闘機パイロットのアンディ・グリーンを雇って、マシンを操縦させて記録を樹立した。ジャンボ・ジェットより速い! ま、この時はジェットのついたクルマだったけどね。


クリーンなディーゼルは日本に根付くか

今度は、同チームがディーゼル部門の最速記録を狙っている。それも今月8月に同じくボネヴィルで行われる。

ちなみに、これまでの記録は、73年にアメリカ人のバージル・スナイダーが出した376km/h。そこで、ノーブル氏が作りあげたJCBディーゼルマックス・ストリームライナーが狙う記録は300mph、つまり480km/h! そのマシンの開発担当は、元ロールズロイス・ファントム主査のティム・レバートン博士。彼の話によると、300mphを出すには、1500psを発生させなければならない。そのパワーを発揮するために、750psのJCB444エンジンを2基搭載。片方が前輪を、もう片方が後輪を駆動している。

元ドライバー兼実業家の
リチャード・ノーブル氏

レバートン氏は同マシンの運転についてこう語った。「ハンドルを握るグリーン選手は、パドルを使ったギア操作を完璧なタイミングでギアチェンジをしなければならないし、室内の猛暑や非常に眩しいコンディションに耐えなければならない。楽な仕事じゃないんだよ。」

でも、新記録が出たら、またノーブル氏が栄誉をもらい、それとともに、最近注目されているディーゼルがさらにビッグ・ニューズになる。

これだけ海外で話題になっている最近のディーゼルなんだけど、日本では自動車ジャーナリストがたまに試乗記を書いているくらいだ。ベンツが優秀なディーゼルを投入したと言っても、まだ身近に感じる人は少ないはず。

前にも、このコラムで「高価なハイブリッドより、クリーンなディーゼルのほうが実現性が高い」という意見を紹介したことがある。ヨーロッパでディーゼルの優秀さに予想以上に感心した僕としては、日本でもクリーン・ディーゼルがもっと浸透するためには、ただ一般人にアピールするだけではなく、みんなが夢を抱くような特別なイベントが必要かなと思っている。たとえば、ミッレ・ミリアのようなラリーのディーゼル版を開催するとか、ね。
 元諜報部員によるテロ対策向けドラテク講習! 2006/8/11 

恒例のメディア対抗ロードスター
4時間耐久レースの模様
イギリスで開催中の
RX-8ワンメイク・レース
「フォーミュラ・ウーマン」

マツダは、本当のクルマ好きにかなり照準を合わせているようだ。どうやって市場の注目を集めればいいかも、よく分かっている。しかも、楽しい方法でなくちゃダメっていうことも分かってるようだ。日本では、メディア対抗4時間の耐久レースを1989年から続けている。毎年9月に行われるこのレースには、25以上の媒体チームが参加する。

いっぽうイギリスでは、2004年に「フォーミュラ・ウーマン」を開催。こちらはRX-8のワンメーク・レースで、4000人の応募者女性のなかから選ばれた30人が参加した。また、7月にはロンドン・モーター・ショーがあったけど、その際には会場の隣りにマツダ特設の野外コースを設置して、一般人向けの「MX-5タイムアタック」を開催した。

映画でデイモン氏が見せる
初代ミニでの豪快なドリフト・シーン
講習会で期待できる
ドリフトやスピンターンの一例

さらに今度は、ものすごく誘惑的な新アイディアを打ち出してきた。なんと、元諜報部員による上級ドラテク講習会だって! この一日のレッスンを受けられるのは、ほんの一握りの人たちだけどね。

マットデイモン主演の映画「ボーン・アイデンティティ」を見たことがありますか? デイモン氏が同映画で見せるスタントマン的なあのドラテクを、この講習会では、実際に教えてもらえるのだ。「レネシス」と呼ばれるこの特別指令ドライバー講習会。ラッキーな参加者は、過激なスピンターン、豪快なドリフト、それに危険な場面から逃走できる技術を繰り返して習う。何と言っても、テロ対策本部ご用達のドラテクだ。

危険な場面から逃走するドラテクも習う 講習会ではRX-8に乗る

興味のある人は、www.renesis.co.uk にアクセスして、自分がこの特別講習会の厳しい条件に耐えられるかどうかをチェックしてみよう。応募者の中から、このコースに最もふさわしいと思われる人達が厳選され、1日のコースに参加できる。しかし、このコースでは、諜報機関の元エージェントが特別ドラテクを披露するだけではなく、秘密機関部員であるという仕事の内容にも少し触れるというから、チェックせずにはいられない。そして、このコースに合格と判断されれば、その人は何とモスクワで実際の練習指令に派遣される。

もしあなたが「素質アリ」と見なされたら、スパイ大作戦の特殊ドライバーに慣れるかもしれないんだ。問題はただ1つ。この講習会に応募するには、イギリスに住んでいなければならない。僕も先日、インターネットで応募しようとしたんだけど、イギリスの住所を記入しないと、受け付けてくれない。イギリスの同僚の住所を使わせてもらおうかと思ったくらい、興味深い企画だ。

 後部席、右も左もシートベルトをどうぞ!
    
Belt up in the back seat too, thanks!!
2006/8/25 

運転手さん、何でベルトをかけないの? 凄まじい結果ですが、
この人たちはベルトをかけなかった

シートベルトをしていない時の事故死亡率は25倍、という統計もある。チャイルド・シートと後部席シートベルトの装着は、もう当然のことになっている…と思いたいんだけど、日本ではまだまだなんだね。それを実感するのが、タクシーに乗った時。車内に乗り込んで、ベルトを捜す。でも、クルクル丸めて押し込んであったり、取り外されたりしていることもあってビックリする。タクシーに乗る事が多い妻は、「運転手さんと心中したくはない」と言い、可能な限り引っ張り出して使う。無い場合は、意識的に「シートベルトは無いんですか?」とたずねる。よく聞かれる答えは、「後ろはしなくていいんですよ。」 でも、本当は、「しなくていい」ではなく、「するように努力する義務がある」のは知ってました? 正式には努力義務って言うそうだ。

みなさん、チャイルドシートを
かけていますか?
妊婦もベルトを
つけるべきです

ところで最近、日本自動車連盟、いわゆるJAFから「後席シートベルト着用にかんする海外実態調査」の報告書*1が送られてきた。あなたも受け取ったかな?とても地味な冊子だけど、内容は結構よく出来ている。日本では、運転席、助手席のシートベルトはかなり使われるようになった。運転席で92.4%、助手席で80.3%。ところが、後部席では、まだ1割に満たない。

僕の故郷オーストラリアでも、アメリカでも、記憶にある限り20年前から全席シートベルトを着用し、チャイルドシートを使うのは当然になっている。使っていない人が捕まると、罰金で減点。日本の子供はチャイルドシートを嫌がる、と聞くけど、海外だと子供が「ママ、バックルして!、バックルして!」と親を急かせたり、「シートベルトをしないといけないんだよ」とカワイク教えてくれたりする。どれだけする意味があるかと理解すれば、嫌がる人はほとんどいないと思うけどね。

ところで、このJAFの報告書には、各国のシートベルト着用義務化への移り変わりや、反則規定、罰金制度などが出ていて、シートベルト普及のためのキャンペーンも各国の例が紹介されている。


*1
http://www.jaf.or.jp/profile/news/file/2006_16.htm



与党も野党も、ベルト着用

イタリアの現スポーツ大臣と元ベルルスコーニ内閣の大臣が後部席のシートベルト着用を推進。
この2人は大臣ですよっ!

ところで、イタリアの有力誌「クワトロ・ルオーテ」が、おもしろいキャンペーンを開始していたのを見つけたので、紹介するね。
「シートベルトを締めよう運動、前も後ろも」っていうキャンペーンで、同誌はそのキャンペーン・キャラクターとしてこの二人の女性に登場してもらった。誰だと思う? 右はイタリアの現スポーツ大臣のジオヴァンナ・メランドリ女史。そして左は、元ベルルスコーニ内閣の大臣、ステファニア・プレスティジャコモ女史。前席も後席も、「右からも左からも、シートベルトを!」ということで、議会ではライバルである二人に、なかよく並んで座ってもらったというわけだ。どちらの党を支持するにしても、安全に関しては区別はないんだから。このキャンペーンは、「確かにシートベルトの話はつまらないとは思うけど、どのクルマにも付いてるベルトをカチャっとしめるだけで、あなたの命を守ることができる。しかも無料です!」というわけ。

事故で後部席ベルトをかけていないと、はっきり言って飛ぶよ 結局、この人はここまで飛んでしまった

「カチャとニコっと、みんなも一緒に!」という記事が言ってる。実は、イタリアでは1993年から、全ての席でのベルト着用が義務づけられている。でも、これは、もっとも無視されている道路規則だと。最近の調査によると、「84%のイタリア人は、後席は前席より安全だなので、後席ではシートベルトをする必要がない」と答えている。しかし、交通警察による別の調査によれば、自動車どうしの衝突事故の死傷者のうち、シートベルトを締めていなかったために車外に飛び出した件数が、全体の20%以上だという。そして、同誌は、「あの故ダイアナ妃だって、もしベルトをしていたら、命は取り留めていただろうということを思い出すように」と呼びかけてる。

そして、「なによりも450万人の読者の皆さんが、誇りをもって、率先して後席でもベルトをしてください。それが最も効果のあるキャンペーンです!」と。

JAFの報告書にも出てるけど、どの国も、まず前席のベルト使用を定着させて、その後段階的にチャイルドシートと後席を義務化して行ってる。そして、そのためにいろいろなキャンペーン*2を企画してきた。でも、やっぱり点数か罰金という形で規則を作らないと、人間はなかなか意識しないものだね。


*2
http://www.thinkroadsafety.gov.uk/campaigns/seatbelts/download/backwards.mpg

http://www.thinkseatbelts.com