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2010年5月  
 1台限りのNismo 370Zついに登場! 2010/5/7 

ダットサン、オンパレード!

ちょっと前に、日産が秘密をポロッとばらしてしたまったんだけど、これで初公開だ。伝説的な自動車デザイナーのピート・ブロック(米国出身)を讃えて、日産は1台だけの特別仕様車をついに世に出した。

念のために言っておくと、ピート・ブロックは1960年代、有名なデザイナー、キャロル・シェルビーと仕事をしてて、後に看板となるシェルビー・デイトナ・コブラのデザイン責任者だったという伝説的な人物。

この1台限りのNismo 370Zが公式にお目見えしたのは先週末、ロード・アトランタ行われたウォルター・ミッティ・チャレンジでのこと。このマシンはブロックに敬意を表するとともに、ブロック・レーシング・エンタープライズ(BRE)がダットサン240Zを駆って1970年にSCCAシリーズで優勝してから40周年を祝うために、特別に用意された。

ダットサン510がサーキットを暴走!
このカラリングは単純だけど、格好いい!

Nismoは、SCCAのT2クラスでの出走に適合させるために、かなりの変更を行わなくてはならなかった。でも、そんなチェンジの中で一番目立ったのは、あのBREのテーマカラーである赤、白、青のステッカーでボディを飾ったことだろう。これは、1969年に初代フェアレディZこと240Zが発表され、翌1970年に初めてレースに参戦した時も、同じカラーで飾られていた。

先週行われたBRE の祝賀会で、ブロックはこう語った。

「370Zのボディは、力強いしっかりした輪郭を持っているので、3色のラインをこれまでより、もっと太く強調することができた。このステッカーのデザインがとても気に入ってる。」
そうだね、このトリコロールはとてもかっこいい。でも、ナンバーは46がいいのかな、それともオリジナル?


今年101歳になられる片山豊氏にインタビューした

伝説の人物は何歳になっても

ルックスにご満悦のブルック氏だが、本音を言うと「コースを回れて楽しかったよ。でも、やっぱり本気でレースをしたいなあ!」でもね、ブロック氏には、本気で走れるチャンスが訪れるのは時間の問題。というのは、日産が、この1台限りの370Zはレースに参戦させると言ってるからだ。日産は、7月28日から8月1日までテネシー州ナッシュヴィルで開催されるZCon2010を含むZのイベントで、この夏370Zのアピールを計画しているからだ。

ここまで読むと、もう1人、伝説的な人物を思い出す読者も少なくないだろうな。初代フェアレディZ=240Zを作った、日産の名プランナーで元日産USA社長、あの片山豊氏だ。1960年代、型破りで一匹狼的な存在だった片山氏。その彼が「アメリカでのダットサンのイメージを上げるためには、なにかバシッと目立つモデルが必要だ」と本社のおエラ方を説得して、2つのモデルを作り上げた。それが、この240Zと、ダットサン510だった。昇る勢いで生みだされたこの2車は、伝説的な名車となった。

僕は去年、光栄にも片山氏にインタビューするチャンスを得た。とてもお元気でとても90歳を超えたとは思えなかった。「あの時本社を説得するのは、本当に難しかったんですよ。でも、結果的に大ヒットとなって、私の生涯で忘れられない作品となりました」と語ってくれた。


チーム・ワールド・カー・アワードが
ニュルブルグリンク24時間レースに挑む!
2010/5/14 

先月の4時間VLN耐久レースで最速のタイムをたたき出した

いよいよ、1年がかりで取り組んできた24時間耐久レースが目前となった!World Car Awardsについては、毎年ニューヨークで4月に行われるウィンナーの表彰式など、これまでにも書いて来てるでしょ。その選考委員が組んだチーム・ワールド・カー・アワードが、ついに今週末ドイツのニュルブルクリンクで行われる24時間耐久レース(公式には、ADAC Zurich 24h-Rennen)に参戦する。5月15日〜16日のレースで僕たちが乗るのは、420psのレクサスIS-F。この24時間レースは、1年がかりのプログラムで、参加するドライバーは、少なくともVLNレースに2回は出場していなくてはならない。僕たちのチームは、2009年8月に初参戦した4時間VLNレースのSP8クラスで優勝を飾ることができた。それを皮切りに、4月までそれぞれのドライバーが2、3回ずつ参戦して、いよいよ今週末を迎えたわけだ。

24時間レースのチーム…
左から順に、ライオン、山内、松田、オーエン

今回、チーム・ワールド・カー・アワードで出場するメンバーは、松田秀士、山内一典、オーウェン・ミルデンホール(イギリス)、そして、僕ピーター・ライオン(オーストラリア)の4名。

一応、ざっと紹介しておくと…。

松田秀士:元インディカー・レーサーで現在はジャパンGTシリーズでアストン・マーチンV8ヴァンテージで参戦中。モータージャーナリスト、ドライビング・インストラクターとしても皆さんご存知。

山内一典:泣く子も黙る「グランツーリズモ」のクリエーターで、ポリフォニー・デジタル社社長。マツダMX-5やVWビートル・レースなどでのレース歴がある。

オーウェン・ミルデンホール(英):モーター・ジャーナリスト。イギリスの「オートエキスプレス」のシニア・ロードテスターを務める。1997年に英フォーミュラ・フォード・ファースト・ディヴィジョンのチャンピオン。以後、多くのレースに参加し、シルバーストーン、Spaの24時間レースに参戦している。

そして、ピーター・ライオン(豪)。ちなみに自己紹介もしておくと、モーター・ジャーナリスト。日本を拠点に、モータートレンド(USA)、オートカー(英)をはじめ、各国のメディアに寄稿。レーシング・ドライバーとしては、マツダMX-5のワンメークレースに10年出場の他、富士スピードウェイの耐久レースなどに参加。ワールド・カー・アワード共同会長。

松田さん、山内さんと僕の3人が、昨年8月にSP8クラスで優勝した時のメンバーだった。


昨日、出来上がったばかりのマシンに
笑顔が隠せないメカニックたち

出来上がったクルマを見て感動

現在、僕たちチーム・ワールド・カー・アワードが乗るのは、5.0 LのV8、8速シーケンシャル・トランスミッションつきのレクサスIS-F。軽量カーボン・ファイバーのボディ・パーツ、幅広タイヤ、改良されたサスペンションを搭載。ブレーキは、6ピストン・ブレーキ・キャリパーにプロジェクトMuパッド。F1マシンから持ってきたリア・ウィングを装備しているIS-Fは、メイン・ストレートでは265km/h をたたき出す。VLNレースでの最高ラップタイムは、9分34秒を記録している。同じV8クラスでのライバルは何とLFA、コルベット、R8、アストンV8など。

目前の24時間耐久だけど、ここまで8ヶ月サポートしてくれたトヨタ・ヨーロッパと、寝る時間も割いてクルマを仕上げてくれたメカニック・チームには深く感謝している。山内選手の参加で、一丸となって動いているポリフォニーのメンバー達も、本当に頼もしい仲間だ。クルマが出来上がり、ボディにステッカーが貼られて姿を見たら、胸が熱くなった。これで、ずっと気温が低く雨まじりのニュルの天気が回復してくれればなあ。レースに向かって僕たちは集中を高めている。


世界一過酷なニュルブルクリンク24時間レース
チーム・ワールド・カー・アワード レクサスIS-Fでクラス4位入賞!
2010/5/21 

スタート直前にマシンの前でチームの記念撮影 有名なカルッセル・コーナーを回るIS-F

先週レース前のことを書いたんだけど、今回は15日から16日にかけて行われたニュルブルクリンク24時間耐久レースの結果を報告します!

前日までの寒くて灰色の雨が嘘のように、当日は正午過ぎからドライになっていよいよスタート。38回目になる今回は、最初からスプリント・レースが展開された。コースに設置されたスタンドのほか、10日頃から周囲には沢山のファンが集っていた。コースは北コースとGPコース合わせて25km。22万人が見守る中、エントリーした197台がペース・カーに続いてフォーメーション・ラップにすべり出し、ローリング・スタートの轟音が響いた。

僕たちのチーム・ワールド・カー・アワード(WCA)のクルマはレクサスIS-F。メンバーは、詳しくは先週のコラムに書いたんだけど、おさらいすると、山内一典、松田秀士、オーエン・ミルデンホール、そして私ピーターライオン。エアロパーツやメカニカルなトラブルもあったけど、とにかく頑張るトヨタ・ヨーロッパのクルーのサポートで、驚異的なクラス4位を入賞。総エントリー数199台中、総合で59位。これは、現実を知ってるとまさに奇跡とも言える結果だったんだ。

20時間めにピットインしてバンパーを交換した レース終盤にフロントバンパーを
カーボンファイバー系に交換した

僕たちのチームWCAのIS-FはSP8というクラスだった。ライバルは、レクサスLFA2台のファクトリー・チームと、アストン・マーチン・ラピード(ファクトリー・チーム)、そしてV12 Vantage, V8 Vantage, アストン・マーチンN24、シボレー・コルべット、アウディR8、それに2台のV8のアウディ。

まず山内一典選手が33番グリッドからのスタート。しかし、燃料ポンプのトラブルで25分程ピットで作業。また、夜になるとブレーキの問題が出てふたたびピットへ。でもこれは、ブレーキ・パッドの交換で直ぐさま解決。

ドライバーはそれぞれ70分のスティントで交替して行ったんだけど、元インディーで鳴らした松田秀士選手が9分58秒という我がチームのベスト・ナイト・ラップをたたき出した。ミルデンホール選手が順調に走った後、フロントのスポラーが落ちてしまい、明け方近く僕に交替すると1ラップでピットに戻り修復作業。明け方のスティントで、山内選手は9分48秒という個人のファステスト・ラップをマーク。それは今回、松田選手が出したチーム・ベストの9分46秒に続くタイムだった。


結果はクラス4位入賞!何とトロフィーまでいただいた!
左から、山内、ピーター、オーエン、松田

予想以上に過酷な24耐に感涙

ニュル24時間レースは、ル・マン24時間に次いで世界で2番目に有名な、そして今では世界最大の24時間耐久レースだ。天候には恵まれたものの、出走した199台のうち、1/3を超える74台がリタイアと非常に過酷だった。でも、僕たちのチームは「とにかく無事完走」を目標にスタートしたものの、じわじわと順位を上げて、レクサスLFAファクトリー・チームと、アストン・マーチン2チームに続いてSP8第4位でフィニッシュ!

一方、過去4年優勝して注目されていたマンタイ・ポルシェGT3Rは、最初のラップでダッシュして、ポールポジションのアウディR8をぬき、トップに立った。だけど、スタートからわずか7時間で遅く走っていたクルマに衝突されて無念のリアイア。その後リードを守ったのは、マンタイ・ポルシェ911GT3Rハイブリッドだったけど、15時間トップを走ったものの、エンジン・ブローでフィニッシュまで後100分という時に惜しくもリタイアしてしまった。

スタート時には4台のアウディR8がフロント・ロウ2列を占めたけど、結局、総合優勝を飾ったのは予選で8位のBMW M3 GT2だった。続く2位はフェラーリF430、そして3位はアウディR8LMS。

レース後に行われた表彰式で、僕たちのチームWCAも4位のトロフィーを頂いた。それは、みんなの汗と涙を象徴する美しいブルーのガラスのトロディーだった。また、山内選手には、モータースポーツ功労賞のトロフィーも送られた。去年の8月にこのチームとして初めてVLN4時間耐久レースに参加してクラス優勝してから、僕にとっても長い道のりだったけど、トロフィーを手にした時、その重みをずっしりと感じて、まさに感無類だった。


総合優勝を飾ったのはBMWのM3GT2

SP8 クラス結果

1位 Lexus LFA (ファクトリー・チーム)
2位 Aston Martin Rapide (ファクトリー・チーム)
3位 Aston Martin V12 Vantage
4位 Lexus IS-F (Team World Car Awards)


 KAWASAKI Z1000より話題になるかも? 2010/5/28 

マッドマックスの暴走族のほとんどは川崎重工が提供してくれた
Z1000に乗っている。川崎の名前が目立つ

バイクといえば Kawasaki、という位、川崎重工の名は世界に轟いてる。日本のバイク・メーカーといえば、ホンダ、ヤマハ、カワサキ、スズキ・・・。僕の母国、オーストラリアの一番有名なロードムービー「マッドマックス」に登場する2輪車は、ほとんどは77年式の川崎Z1000なのだ。

覚えていますか? 同映画の暴走族の族長のトウカターやマックスの相棒のグースが乗るバイクはまさにZ1000だ。もちろん、筋肉マシンはどんどん進化して、2010年型も登場しているが、ちなみに、マッドマックスのほうも、4作目が豪州で製作中だってさ! 主役はメル・ギブソンではないけど。

日本で試乗したパワフルな3輪車のカンパニャT-Rex 14R

ところで、みんな驚くかもしれないけど、川崎重工、通称Kawasakiは、意外な場面で大活躍している。僕が先月試乗した、ちょっと驚きのカナダ製3輪車カンパーニャT-REX 14Cは、伝説的な2輪車の川崎ニンジャのエンジンを積んでいるんだ。このスリル満点のマシンはもしかしたら、世界最速の3輪車かもしれない。


芝刈り機のマイスター
世界新をたたき出したドン・ウェールズ氏

世界最速の芝刈り機?

そして、先週の5/24に英国のサウス・ウェールズで、川崎のエンジンを積んだ芝刈り機が世界最速記録をたたき出した。それは、ラニングブレードというプロジェクトで、カウンタックスという芝刈り機が、初めて時速140 km/hの壁を超える速度をマーク!その芝刈り機のエンジンが、なんとKawasaki製なのだ。

オナー・モータースポーツ・チームのカウンタックスがたたき出した記録は、アメリカで2006年に手製の芝刈り機が出した記録130 km/hを見事に塗り替えた。それを打ち立てたのは、ドン・ウェールズ。

彼は、ペンダイン・スピード・ミュージアムの芝生で行われたレースで、これまで8回のレコードを持っている。ここ4年間、ミリタリー・ビーチで出された最高記録を破るべく挑戦してきたドンは、ついに22日(土)、それをほぼ10 km/h超えた記録。さらに、23日(日)には、カーマセン・ベイという海岸でのレースで、141.3 km/hをたたき出した。

でも、彼は、ただの物好きな、芝刈り機ライダーではない。彼には、スピードという血が流れている。ドンのお爺さんは、1920代、30年代に地上と水上での世界最高記録を打ち立てたマルコム・キャンベル卿。その息子で、1950年代、60年代に驚異的な記録を打ち立て、1967年のレースでスピード・ボートを時速300マイル超で操縦中に命を落としたドナルド・キャンベルは、ドンの叔父。まさにスピードを争う家系。地上最速レコードを英国にもたらそうというスティーム・カーのプロジェクトでも、テスト・ドライバーを務めるなど、様々なジャンルのスピード・レースで功績を上げている男なのだ。


英国的スピード・レースにもKawasakiあり

ドンは、これまでのレコードを合わせて9回の記録を歴史に残すという偉業を達成したわけだけど、これは、単なる物好きのお遊びレースというわけじゃないんだ。実は、このラニングブレードというプロジェクトは、サザンプトン・ジェネラル病院心臓病センターのための基金を募る目的で行われている。

まあ、とにかく、そんな募金のために芝刈り機レースを企画するっていうのも、モータースポーツ好きのイギリス人らしい。そして、そんなところで、カワサキのエンジンが世界記録を打ち立てたっていうのは、誇らしい技術の証なんじゃないだろうか?